昨年のBOFXVは去年までとは大きく違うイベントでした。過去のBOF系イベントスコア部門優勝経験者が軒並み不参加だったり、終わってみればトップ5が全員海外勢、もっと言えば韓国勢だったりと、上げ始めると色々あります。しかし、具体的にどこがどれくらい違ったんでしょうか? 私、気になります!
そこで、syuurokuが気になった範囲で適当にまとめてみました。
優勝作品について
BOFXVの個人戦は「 花たちに希望を / Sound piercer feat.DAZBEE」がスコア部門・中央値部門共に優勝という結果になりました。
そしてチームではSound Piercerさんが上記の作品を登録された「True Colours」がスコア部門・中央値部門共に頂点に立ちました。
これによりSound Piercerさんは完全優勝を果たしたということになりますが、これはBOF系列イベント(以下BOF系)では2度目の快挙です。じゃあ最初に成し遂げたのは誰かと言うと……
はい、言わずと知れた名曲、Äventyrを制作されたGrand Thawさんでございます。こちらもこの作品で個人戦スコア部門と中央値部門優勝、そして彼らの所属するチーム「Memoirs」がスコア部門・中央値部門共に優勝したことにより完全制覇を成し遂げています。この作品が出展されたのはBOF2012なので、実に7年ぶりの快挙であります。まさかこの伝説がもう一度見られるとは思いませんでしたね。
余談ですがチーム「Memoirs」の他作品の結果は
HAELEQUIN / orangentle ・・・スコア2位 中央値4位
Lieselotte / wa. ・・・スコア11位 中央値17位
といった感じで同じチームの作品でスコア部門ワンツーフィニッシュを決めていたんですが、一方でチーム「True Colours」の他作品の結果は
introspect / Lokan ・・・スコア14位 中央値2位
Another Day / GUANA ・・・スコア28位 中央値9位
と、こちらは中央値部門で同じチームの作品がワンツーフィニッシュ決めてました。意外な共通点(?) てか三作品とも中央値一桁とかヤバすぎ。
他にも優勝という点に注目すると、BOF系史上二度目となる海外勢(前回はBOFU2015の「Dataerr0r / Lunatic Sounds」)、BOF2005以来実に14年ぶりとなる完全日本語タイトル楽曲(その時の優勝作品は「海神寓拝 / sasakure.UK」)と、過去のBOF系で打ち立てられた記録をおさらいしたかのような結果になりました。(ちなみに日本語が含まれていればOK、とすればBOF2006の「路上のギリジン-Shou+rt Mix- / tarolabo feat.小宮真央」以来13年ぶりになります)
その他の作品について
今回のBOFXVは優勝作品以外にもここ数年とはちょっと違う傾向がみられました。なかでも印象的なのは「Paracelestia / Nego_tiator」でしょう。こちらは個人戦スコア部門で9位に輝きましたが、こちらの作品にはBGAが無く視覚的要素はBGIのみです。映像ではなくBGIのみの楽曲が一桁順位を取ったのはBOF2012の「EOS / ginkiha」「Kronos / 削除」以来7年ぶりの快挙ということになります。(まあKronosは視覚的要素0でここまで上がってきてるとんでもないヤツなんですが)
これ以外にも、今回はBGIのみの楽曲がここ数年と比べて多く上位にランクインしています。試しにG2R2014以降毎年恒例となっている個人戦スコア部門TOP30の動画にランクインしているBGIのみ、もしくは視覚的要素が無い作品数を比較してみると
G2R2014・・・4作品
BOFU2015・・・3作品
BOFU2016・・・1作品
BOFU2017・・・0作品
G2R2018・・・1作品
BOFXV・・・4作品
となります。2016年と2018年はいずれも評価期間中にBGAが間に合わなかった作品なので、純粋にBGAを同梱していない作品は2015年を最後に1つもランクインしていなかったことになります。
ちなみにランクインした作品は以下の通りです。
G2R2014(「ロリキート / 黄泉路テヂーモ」「Futurity / Ryo Nakamura」「Divinity Garden / daisan」「PUPA / モリモリあつし」)
BOFU2015(「Coda / mossari」「☆をかけるアドベンチャー 〜 we are forever friends! 〜 / ああああ」「Cryonix / sky_delta」)
BOFU2016(「JUGGLE / Ras」)
G2R2018(「rainbow / ああああ」)
BOFXV(「Wicked Laboratory / BBBB」「GOODFORTUNE / EBIMAYO」「Sparkling☆Sunshine!! / otoshi.b」「Paracelestia / Nego_tiator」)
Cryonixはタイトルのモザイクが動くだけなのでBGI扱い、CUTSICは音声波形が中心となっているのでBGA扱いとさせていただきました。
この集計には↓↓↓の動画を参考にさせていただきました。
中央値順位>スコア順位な作品
ここでは、見出しの通りスコア順位よりも中央値順位の方が高かった作品を取り上げていきたいと思います。こういった結果に終わった作品はクオリティは非常に高いのにインプレ数が少ない傾向にあります。今からでも遅くないので、これらの作品にぜひ触れていってほしいと思います。なお、調べ上げるのが結構しんどいので、調査対象は以下に該当する作品に限らせていただきます。
・中央値部門50位以上
・中央値部門とスコア部門の順位の差が20以上
・中央値部門1~20位の作品はこの差が10以上
で、調べた結果は以下の通り。
・introspect / Lokan (中央値2位 スコア14位)
・Aurora / Lime (中央値7位 スコア19位)
・Another Day / GUANA (中央値9位 スコア28位)
・カタリスト / P4koo/つゆり花鈴/BlueArpeggio (中央値10位 スコア38位)
・Shamshir -rough Pt.2- / mommy (中央値16位 スコア33位)
・Door Nock / BilliumMoto (中央値19位 スコア29位)
・Celeste / ΣX3 (中央値20位 スコア84位)
・Estella / Gabriel (中央値25位 スコア53位)
・Bouquet coloré / Nego_tiator (中央値29位 スコア56位)
・Freefloat / yusi. (中央値31位 スコア95位)
・-Never ending journey- / SOMON (中央値32位 スコア61位)
・The Secular Change / atmbzk (中央値33位 スコア94位)
・IN / Zris feat. Katie (中央値36位 スコア74位)
・Decompozer / Arkplot (中央値37位 スコア82位)
・ステキナミライ / カラフル・サウンズ・ポート (中央値38位 スコア59位)
・Cyclone♠Joker / 庭師 (中央値40位 スコア105位)
・miracle romance / 牧野 (中央値41位 スコア115位)
・FLASHBACK / DOT96 (中央値42位 スコア111位)
・Seiren / kanoryo (中央値46位 スコア67位)
・サマータイム・サブコンシャス / Dachs (中央値48位 スコア88位)
……いや多いな。しかしそれだけ埋もれがちな良作が沢山あるとも言えるのではないでしょうか。またここに含まれなかった作品が評価の割にクオリティが高くないとかいうつもりは全く無く、あくまでイベント終了後にBMSを漁る方のきっかけの一つになればと思って調べた次第です。
順位が急上昇したBMS作家
最後に、去年や一昨年と比べて順位を大きく上げたBMS作家さんを見ていこうと思います。この1,2年でDTMの実力やBMS制作のコツを掴んで急成長した方や、今年かなり話題になったあの人が実は去年も出てたんだよ、みたいなことがここで分かるかと思われます。
基準としては以下の通りです。
・G2R2018もしくはBOFU2017に出場していた
・両方出場した方は出場作品の内最も順位の高かった作品と比較
(G2Rの順位よりBOFUの順位の方が高ければそちらを比較基準とします)
・BOFXVに複数BMSを出した方はそのうちの最高順位を取った作品で比較
・BOFXVの最高順位が100位以上
・以上を満たした上で、順位が20以上上がった(2016年以前に高順位だった場合を除く)
この基準を踏まえた上で、順位が20以上上がった方をピックアップした結果がこちらになります。(敬称略)
・NceS(2018:110位→2019:7位)※2018年はNceS v.s. SunsetRay名義
・Dachs(2017:35位→2019:12位)
・Micelle(2018:113位→2019:13位)
・qfeileadh(2018:76位→2019:15位)
・NASA(2017:105位→2019:17位)
・Juggernaut.(2018:95位→2019:23位)
・BBBB(2018:277位→2019:26位)
・BilliumMoto(2018:244位→2019:29位)
・黒皇帝(2017:149位→2019:30位)
・E0ri4(2017:75位→2019:31位)
・みーに feat. 初音ミク(2018:68位→2019:32位)
・P4koo/つゆり花鈴/BlueArpeggio(2018:65位→2019:38位)※2018年はP4koo feat. つゆり花鈴名義
・KaKi(2018:111位→2019:39位)
・kooridori(2018:67位→2019:44位)
・ProjectG(2018:261位→2019:48位)※2018年はAnimozity feat. Project-G名義
・空読無 白眼(2018:136位→2019:60位)
・SOMON(2018:92位→2019:61位)
・ume(2017:91位→2019:69位)※2019年は虹色鴉(ume feat.a-m)名義
・Zris(2017:96位→2019:74位)※2017年はZris & Eurico、2019年はZris feat. Katie名義
・うまるつふり(2018:186位→2019:77位)※2019年はArishima_Caprico + うまるつふり名義(BGA先行チームにて参戦)
・Setca.(2017/2018:112位→2019:79位)
・nekomimi_STRaw(2018:149位→2019:81位)
・saaa(2018:142位→2019:100位)
一気に100位以上上がった方はより目立つように太字にしました。こうして見るとBBBBさんがとんでもない急成長ぶりですね。他にもBilliumMotoさんとProjectGさんが去年より順位が200以上上がっております。三人ともBMSとしてのクオリティが向上したのももちろんですが、BBBBさんとProjectGさんに関しては無名戦16やBMS衆議院選に出場したことによる知名度の上昇も大きいのではないでしょうか。BOF系以外の中小規模のイベントにも積極的に参加することによる効果が見て分かります。実際、上に書かれていないような方でも、無名戦などのイベントに出場することで順位を大きく上げた方が他にもいました。高順位を狙う方は参考にしてみてはいかがでしょうか。
ただ、この順位の変動はあくまで順位の数字しか見ていません。そもそも2017年、2018年、2019年で総BMS登録数も違いますし、インプレ数も違います。特にG2R2018は史上最大規模の盛り上がりを見せていたため、昨年と比べて順位が上がった方でも獲得点数は昨年より少ない、なんてこともあります。
まとめ
今回は上位作品にここ数年とは違った面白い傾向があった、という話とそのついでに各作品・作家の順位について比較を行いましたが、BMSに向き合う上で最終的に一番大切なのは「どれだけ評価されているか」というよりも「どれだけ自分が好きか」を考えることだと思います。自分が本当に大好きだと言える作品は必ずしも上位に入っているものばかりではありません。現に僕がBOFXVで一番好きになった作品である「X-uo!ssaunll! / NASVINE」はスコア132位、中央値244位と、評価がかなり高い訳ではありません。それでも僕はこの理不尽なまでのソフラン(BPM完全同期)と目まぐるしく変わる展開に衝撃を受けると同時にどっぷりハマってしまい、他の多くの作品をプレイしても自分の中の一番が揺らぐことはありませんでした。
BMSを始めてまだ右も左も分からないという方はランキング上位の作品やここまでつらつらと挙げてきた作品をプレイするのがベストだと思われますが、そんなあなたがBMSを「自分から探求する」一歩を踏み出し、衝撃を感じるほどの作品に出合える時が来ることを祈ります。